「マダムインニューヨーク」は、監督脚本も女性で、自分の母のことを思って作ったというこの映画、セリフの一つ一つが「わかるー」で、凄く目線が優しい。多少の行き違いはあれど、悪人が誰も出てこないのも、ホッとする。
「観てよかったー」「私も頑張ろう!」という気持ちになること請け合いの、全編美しいハートウオーミングな映画です。
『マダム・イン・ニューヨーク』Netflixインド映画ヒトコト感想&勝手におすすめ度
シャシの 美しい佇まい 永遠に
「勝手におすすめ度」★★★★★
「マダム・イン・ニューヨーク」あらすじ
主人公のシャシは、古風で優しく料理上手な女性。
姑、夫、子どもたちの世話をし、家事をこなし、尽くしているけど、家族からは「英語が話せない」「英語の発音が変」とバカにされて、「私は何もできない」と自信を失っています。
得意なお菓子「ラドゥ」は近所のお祝いの引き出物になるほど大評判だけど、それさえも夫からは「君の手料理は俺一人のもの」と言われて、主婦の片手間で仕事じゃないでしょ的に言われちゃいます。
可哀想なシャシ。娘は思春期で、家事だけで何もできない人とシャシを疎ましく思ってて、ダンナも専業主婦のシャシをさりげなくちょっと下に見ている感じ。こんなに家族のためを思ってやってるのにー。
毎日毎日軽くディスられたら、 自信失いますよね、ほんと。
そんなとき、ニューヨーク在住のシャシの姉マヌの娘ミーナが結婚するから来てほしい、シャシに先に準備に来てほしいとの連絡が。
英語ができないシャシが、単独NYへ。
そして一念発起、結婚式の準備の傍ら、家族に内緒で4週間英会話レッスンに通うことを決心。友人もできて、そこからシャシの人生が回り始めます。
「マダム・イン・ニューヨーク」見どころ、感想、ネタバレ
「マダム・イン・ニューヨーク」シャシの決心、スピーチ、生き方が美しい!
何事も、自分から変わりたいと思うこと。そして、自ら動くこと。年齢は気にしない。
勇気を出して第一歩、大事ですよね。
大都会NYの街に戸惑いながらも、新しいことを始めるわくわく感が伝わってきて、シャシ、めっちゃ可愛いんです!
そして「家族が自分を尊重してくれない」と嘆いていたシャシが、英語学校で学ぶうちだんだん変わっていき、最後、姪の結婚式で英語のスピーチをしますが、そのメッセージが感動!
夫婦のあり方について、「自分を助ける最良の人は自分」「そうしてこそ人生が輝く」「夫婦が対等でいること」「自分を愛すること」「家族は必ずそばにいる」を自分の言葉でしっかりスピーチしていて、隣に座っていた夫や娘が今までの言動にて浮いて反省し涙ぐむシーンも。みんな、いい人じゃん。。
映画の中のシャシのスピーチ、素敵だったので、引用します。
ちょっと長いですが、気になった方、読んでみてくださいね。
This marriage is a beautiful thing.
It is the most special friendship.
Friendship of two people who are equal.
Life is a long journey.
Meera, sometimes you will feel you are less.
Kevin, sometimes you will also feel you are less than Meera.
Try to help each other to feel equal.
It will be nice. Sometimes…
Married couple don’t even know how the other is feeling.
So… how they will help the other?
It means marriage is finished?
No. That is the time you have to help yourself.
Nobody can help you better than you.
If you do that… you will return back feeling equal.
Your friendship will return back…
Your life will be beautiful.
Meera… Kevin… Maybe you’ll very busy…
but have family… son… daughter.
In this big world… your small little world, it will make you feel so good.
Family… family can never be… never be… never be judgemental!
Family will never… put you down… will never make you feel small.
Family is the only one who will never laugh at your weaknesses.
Family is the only place where you will always get love and respect.
That’s all Meera and Kevin… I wish you all the best. Thank you.
「マダム・イン・ニューヨーク」国境を超えた友情
英会話スクールの先生や、クラスメイト達が、みんなそれぞれお互いを尊重しあう姿勢が素敵。
それぞれ違う国からアメリカに渡り、苦労しながら生活しているからこそ、お互いの気持ちがわかり、優しくなれる。
「あなたはどんな仕事をしているの?」と聞かれたシャシが、「家でお菓子を作って売っています」と答えたら、「それは起業家だね!」と言ってくれた先生。
「お菓子つくりはアーティストだ」と励ましてくれたイケメンクラスメイト。
ほんの一言で、人生は輝きもするし、翳りを帯びる。
みんな、尊重されたいですよね。
わたしもできるなら、常にプラスの言葉だけで生きていきたい。励まされたい笑。
「マダム・イン・ニューヨーク」映像、サリーが素敵!
今まで、たくさんのインド映画を見てきましたが、初めて「サリーってこんなに美しいんだ!」と思いました。
シャシが毎日着るサリーが色とりどりで、「どんだけインドからNYに衣装を持ち込んだのですか?」と思っちゃうくらいなんですが、色合わせ、柄、どれをとっても上品で繊細、うっとりしちゃうんです。
「私もサリーほしいなあ。着たいなあ」とつぶやいていたら、夫から全力で止められましたが(きっと私ならやりかねないと思ったに違いない)。
そして、映像もめっちゃきれい。キラキラしてます。
インドやNYのきれいなところを切り取って撮影している感じ。
女性監督ならではの美的要素が満載だなと思います。
「マダム・イン・ニューヨーク」シュリデヴィ・カブール、美しさ永遠に
この映画は2012年公開だったのですが、撮影当時のシュリデヴィは50才位だったとのこと。
小学校や中学生の子供のいる役だし、見た目若いし、私は「40歳くらいかな?」と思ってたので、この実年齢を聞いたとき、年齢を超越した美しさにびっくりしました。
しわもシミもないんですよ。。。
シュリデヴィは、男性優位のインド社会で男性抜きで主役を張れる最初の国民的女優だったとのこと。結婚後、いったん引退、15年ぶりに映画界に復帰して出演したこの「マダム・イン・ニューヨーク」では、ダンスや歌のシーンはあまりないんですが、妖艶でとても可愛らしいダンスが少しだけ見られます。
また映画の中で、フランス人男性に告白されるシーンがありますが、シュリデヴィは「結婚している女性だからロマンチックなことはしたくない」と監督に言っていたとのこと。映画にはメッセージが込められているとわかっていたシュリデヴィ、実人生でもきちんとした芯が通った女性だったんですね。
そして、シュリデヴィ。実は、2018年2月にドバイのホテルで意識を失い溺れて亡くなっていました。享年54歳だったとのこと。次の作品は何だろうと楽しみにしていたので、本当に残念です。この作品が最後になってしまったのですね。
上品で素敵な国民的女優のシュリデヴィ・カブール。美しい佇まいは永遠に。
ご冥福をお祈りします。
「マダム・イン・ニューヨーク」ラドゥってどんなお菓子?
この映画でしばしば出てくる、インドのお菓子、ラドゥ。
どんなお菓子か、気になりませんか?
ラドゥはヒンドゥー教の儀礼のお供え物として生まれた郷土菓子なんです。
映画のシーンでもありますが、お祝いの席や結婚式の引き出物として配られたりする、ハレのお菓子の一つ。シャシが作るのは、黄色のまん丸のお団子ですが、地域やお店によってはココナツやナッツを表面にちりばめたり、色々な種類があるよう。
ベサン粉(ひよこ豆の粉)、砂糖、ギー(濃縮バター)を炒めて丸めて作った、甘い団子状クッキーです。
ヒンドゥー教の神様、ガネーシャ様も大好きなお菓子みたいですよ。
もし、インド料理屋さんで見つけたら、チャレンジしてみてくださいね!
最後に。「マダム・イン・ニューヨーク」ネットフリックスで見逃しなし
映画「マダム・イン・ニューヨーク」の主人公、シャシは英語が苦手で、自分に自信がない女性の一人だったけど、ひょんなことから英語を学び、次第に自信をつけ、自分自身の人生を楽しんで歩み始めます。
結婚して家庭に入り子育てに追われてきて、ふと思う。外では○○ちゃんのママ、家ではダンナからも子供からもママと呼ばれ。私、このままでいいのかな、と。でも仕事は辞めちゃったし、新しい職場や仕事についていけるかも不安。ダンナは毎日きれいな人に囲まれて仕事、私で満足しているのかも不安。
国は違っても、女性が考えることは皆同じですよね。
英語が苦手なのも、私と同じ笑。私も、英語勉強してみようかなー。
というわけで、「私も新しいことに挑戦してみようかな」と勇気がもらえる映画、「マダム・イン・ニューヨーク」。
いかがだったでしょうか。
ぜひ、観てみてくださいね。
全ての女性に幸あれ!
とてもおすすめのこの映画、★★★★★5つです。