インド映画「レインボー」。
インド西部の砂漠にある小さな村に住む幼い姉弟が、ある目的のために、300キロに及ぶ旅をするロードムービーです。
派手なアクションもダンスもないけど、全体的に優しい映像で、観終わった後、「ああいい映画を観たなあ」という清々しい気持ちになれる。
では、「レインボー」見どころをどうぞー!
『レインボー』okome のヒトコト感想&勝手におすすめ度
幼い姉弟 希望の象徴 シャー・ルクさま
「勝手におすすめ度」★★★★★(万人に勧めたい!)
「レインボー」はどんな映画?
インドのラジェスタン州チュル村に住む、姉パリーと弟チョトウの姉弟の300キロに及ぶ旅を描いた、2015年に制作された、ほっこり優しいロードムービー。
インド国内の映画祭の他、ベルリン国際映画祭でも特別作品賞を受賞、さまざまン国の映画祭でも絶賛され。高い評価を得た映画です。
「レインボー」あらすじ
パリーとチョトウは、砂漠にある貧しい村で、優しいけど甲斐性なしのおじさん、ケチで怖いおばさんと一緒に暮らしています。
パリーは優しくってしっかり者のお姉さん。盲目で口が悪い弟の面倒を見るために、わざと学校のテストでオール0点を取って留年したりします。
チョトウは悪態をつくけど、いつも手をつないで世話をしてくれるパリーが大好き。
二人は、毎週、おじさんが連れて行ってくれる映画を楽しみにしていて、パリーはイケメンの「恋する輪廻」のシャー・ルク・カーン、チョトウは勇敢な警官役を演じた「ダバング」のサルマン・カーンの大ファン。
そんなある日、パリーは、映画館の壁に、シャー・ルクが角膜移植の提供(募金かな?)を呼びかけるポスターを見つけます。
もしかしたら、憧れの大スターのシャー・ルクなら弟に角膜の手術を受けさせてくれるかも!と、毎日シャー・ルクに手紙を書き始めるパリー。
そして、シャー・ルクが映画の撮影のため、ジャイケルメールという近くの砂漠の村(と言っても300キロメートル)に来ていることを知り、会いに行くことを決心、夜中チョトウと一緒に家を抜け出すのでした。
旅すがら、「どうなるの?!」というハラハラドキドキなトラブル満載なのだけど、さまざまな人に助けられ、とても軽やかな展開。爽やかで優しい気持ちになれます。
「レインボー」見どころ、感想、ネタバレ
「レインボー」パリーやチョトウの気持ちが、まっすぐで純粋
「レインボー」のパリーは、「チョトウの9歳の誕生日までに目の手術を受けさせ、直してあげたい」というまっすぐな気持ちで行動します。
パリーとチョトウは、4年前に事故で両親を亡くし、それ以来おじさんの家に居候し肩身の狭い思いをしています。
チョトウはもともとは目が見えていた。でもおばさんが食べ物を与えなかったせいで、栄養失調になり、徐々に視力が衰え、ついに見えなくなってしまったんだとか。
おばさん、幼い子供をどれだけ憎んでいたのか。。。
おじさんもそこまでになる前に、おばさんの意地悪を止めようよ。。。
チョトウが悪態をつく気持ちも、かんしゃく持ちだったのもわかる気がする。
やるせない怒りをぶつける場所がないんだもんね。
ぐれない二人は偉い。
そんな二人にとって、映画鑑賞は唯一の娯楽。
インドの子どもたちにとって、大スターは身近なヒーローなんですね。
そんな身近なヒーローが、角膜のポスターになってて、しかも近くにいたら。
近くと言っても300キロメートルですけど、「会いたい」気持ちで、笑顔で行動しちゃうパワーや純粋さは、子どもならではだなと思いました。
「レインボー」インドの風景が清々しい!
インド映画というと、人がたくさんいて、ごちゃごちゃ、な印象があるんですが、これは映像が、ホントに軽やかで清々しいんです!
インドで軽やか?清々しい?まさか?なんですけど、そうなんです。
砂漠の中の村が舞台だから、広々、伸び伸び、人もまばら。家も点々。
そして使われている色もカラフルなんだけど、重たくなくて、優しい色合いなんですよねえ。
パリーの見ている心象風景とリンクしてるのかな、と思いました。
最後にパリーが「きれいね、この世界は」と言いますが、ほんとその通り!
キラキラ見えるのは、パリーのココロがきれいなんだよ、きっと。
「レインボー」出会う人々がみんな軽やか
パリーとチョトウは、旅の途中で次々と助けてくれる人に会いますが、それが、ホントに身軽な感じのひとばかり。
・水をくれて、途中まで乗せてくれた親切なトラック運転手。
・結婚式の祝いに向かう親子や芸人。
・シラタマさまと巡礼者。
・放浪の旅をする愉快なアメリカ人青年。
・遊牧民の女性。
・家族を亡くした、小太りの奇妙な優しい男。
・村の知り合い、ガイドゥ兄さん。
こう書いていくと、定住して重たいものを背負って生きていく!というイメージの人がいないような。
この旅の途中、両親が亡くなってから初めて、チョトウが歌を歌いだしたのも、この優しくて通りすがりの軽やかな人たちとの出会いなんだよね。
遊牧民の盲目のシャーマン的長老が、「目でなく心で眺める。周りは魔法だらけ。魔法が見えたらつかんで飲み込むんだよ」と子どもたちに言っていたのが印象的。
「レインボー」助けた人は誰だったのかな。
最終的に、熱中症と脱水症状で砂漠で倒れてしまった二人を助けてくれた人がいます。
砂漠で倒れたパリーとチョトウを助けた人は一体誰だったのか?
二人は、シャー・ルクが助けてくれたんだ!と信じてますが、ほんとにシャー・ルク様だったのか?
謎です笑。
でも、そうだったらいいな。
名前も言わず、そっと立ち去ったのは、意味があったのでしょう。
見返りも止めず、密かに助けてくれる人がいる。
インドは貧富も激しいし、生きるのにひときわ厳しい社会かもしれないけど、希望もあるんだよ、というメッセージを私は感じました。
あと、しみじみ思うのは、あちこちの映画でも「シャー・ルク」さまの名前が使われていて、ほんとに娯楽映画の帝王なんだなーと思いました。そして、人々の希望の星、象徴でもありますね。
「レインボー」この意味は?
あと、この映画の題名は「レインボー」。
原題は、「Dhanak」。虹、と翻訳されていますが、虹そのものは別の言葉があり、頃はもっとぼんやりとしたものを意味しているようです。
後半、ケーキのろうそくに浮かび上がる、キラキラした7色の光の輪。
あれなんでしょうね。
そして、パリーやチョトウのココロの目にも、出会った人たちや出来事がキラキラと見えているんだろうな、と思いました。
きれいにまとめたぞ!
最後に。ネットフリックスで見逃しなし!
本来だったら、この2020年の夏は、東京オリンピックが開かれていたはず。
世界各国、日本各地からもたくさんの人がこの東京にやってきて。
夏休みだし、子どもも大人も、あちこち旅行に行ったり、避暑に出かけたり、お盆休みに実家に帰ったり。
のはずでしたが。
この数か月リモートワークメインで、近所に必要最低限の買い物にかろうじて出かける以外は、ほぼ自宅から出ないこの状況、年始には想像できなかったですよね。
行行きたいなあ。
なんて時に、この映画を観ました。
ちょっとは旅気分を味わえるかな?
有名な観光地は回らないのですが笑。
かなり清々しい気持ちになりました。
ダンスもないけど、観てよかったーと清々しい気持ちになれる、おすすめ映画★★★★★5つでした!