インド映画界気鋭の4人の映画監督が手がけた2013年の秀逸な映画「ボンベイ・トーキーズ」。
その4人の監督が再び集結、愛とセックス、男女のカタチを描いた大人向け短編オムニバス映画が、この2018年の「慕情のアンソロジー」です。
原題は「Lust Stories」。欲望、のお話。
いきなり、「えええええ」というシーンから始まる、女性の欲望赤裸々映画もあるので、周りの環境をよく確認してからご覧ください笑。
『慕情のアンソロジー』okome のヒトコト感想&勝手におすすめ度
『慕情のアンソロジー』4作品
1.アヌラーグ・カシャプ監督作品
あらすじ
大学教師のカリンディ(ラーディカー・アープテー)は、ミヒールという12歳年上の夫がいるものの、遠距離別居婚している人妻。夫とは何でも話し合い、自由な恋愛についてもお互い報告し合っている。
ある日、ふと魔が差し、大学のイケメン教え子テジャルと関係を持ってしまったカリンディ。それがセクハラに当たるのではないかと不安になったカリンディは、テジャルに口止めをする。
自分自身は他の大学教師と関係を持ったり、自由に過ごしていたが、テジャルが女子学生ナターシャと付き合い始めたのを知ったとたん、二人のデート現場に押しかけたり、家に入り込みあら捜しをしたり、ストーカーになっていく。
見どころ、感想、ネタバレあり!
12歳年上の夫と、20代前半に結婚してしまったカリンディ。
遠距離にいる夫とは、別に嫌いになったから別れているわけではなく、お互い仕事があるため、離れ離れに暮らしているようです。
そして不思議ポイントが、お互い自由に恋愛して、それを報告し合っている点。
はい?
「ミヒールは無私。私に自由をくれた」と言ってるカリンディなので、カリンディが浮気しても夫ミヒールは嫉妬も責めもしない。
ミヒール、自分が離れていて、妻を身も心も満足させてあげられないから、解き放っているんですね。
っていうか、絶対これ、ミヒールが先に浮気していて、年下妻をいいように洗脳したパターンだと思うんですが。。
夫とは何もかも報告し合う間柄だから、浮気相手学生のテジャルにもそれを求めるカリンディ。どこにでも現れちゃって、ナターシャとの関係を「全て報告しろ」と正直に白状させようとするめちゃくちゃなストーカーです。
散々振り回され、ついに根負けしたテジャルが、「ナターシャと別れる」と言うと、「私は人妻よ」と捨て台詞を残して去っていくカリンディ。それを呆然と見つめるテジャルの表情。
「何がしたかったんだ、カリンディ」と、テジャルに同情、笑っちゃいました。
最後のシーンは面白かったです。
めちゃくちゃ加減が、結構好き!
2.ゾーヤー・アクタル監督作品
あらすじ
可愛くって働き者のメイド、スダー(ブーミ・ペードネーカル)はムンバイの1LDKに住むアジット(ニール・ブーパーラム)の家で働いている。アジットは朝出勤してきたスダーを抱いてから、仕事に向かう。ある日、アジートの両親がアジットの結婚を決めるためにやってきた。その後、美しい婚約者とその両親とやってきて、結婚の段取りが決まっていく。何とも言えない表情のスダーだが、もくもくと皆のためにお茶を入れたり、家事をこなしていく。
見どころ、感想、おすすめポイント!
スダー、いじらしすぎます。
アジットの両親もなんとなーく、スダーとの関係をうっすらと感じているような。でも口に出さず、あくまでも「可愛い通いのメイド」として接するあたり、「ずるいよねー」と思います。
階級社会では、欲望処理、使い捨ての相手としてのスダーはよくあることなんでしょうか。
仕事帰りに、隣の部屋のメイドと、おさがりのお菓子を食べるシーンが、あまりに普通過ぎて、自分の立場をわかっているんだな、と思いました。騒ぎ立てても勝てないし、仕事を失うだけですものね。
この作品は、あまりメリハリがなくってまあ、普通でした。
が、最初のベッドシーンには、「インド映画で、これありなの?いいの?!」と思ってしまったくらい過激でした。
つい、一緒の部屋にいる家族をそっと振り返りました。。。
3.ディバーカル・バナルジー監督作品
あらすじ
海辺ではしゃぐ熟年女性リーナ(マニーシャー・コイララ)と心臓外科医のスディール(ジャイディープ・アフラーワト)。
広く新しいビーチハウスで仲良く過ごす二人は、夫婦のようだが、実は不倫の関係だった。そんなとき、スディールに入った一本の電話。
それはリーナの夫サルマン(サンジャイ・カプール)が、失踪してしまった妻の行方を問う電話だった。「俺は死ぬ」というサルマンの言葉に、スディールは、「実はリーナはここにいる、夫婦の相談に来たのだ」と説明しサルマンを呼び寄せた。実は3人は学生時代からの友人で、サルマンとスディールは、リーナをめぐって恋のさや当てをした仲でもあった。
見どころ、感想、ネタバレあり!
サルマンがリーナに向かって「君の人生は俺が与えたものが。君には仕事もない。家に帰れ」と言ったときは、「何それー。サルマン、パワハラ夫じゃん!サイテー。そりゃ、癒しを求めて他の男に走るのも無理はなかろう」と思い、リーナに同情しました。
が、リーナの大学時代のニックネームは「氷の処女」。
そして、今は「完璧な妻で、母」とのこと。
ん?
結構強そう。。
そして最後のシーン。
車の中で、サルマンが事業のことをリーナに相談していて、リーナに「アタマいいこいいこ」されてるのを見てしまったら、、、実はリーナがダンナが掌で転がしているのでは、したたかな女だったのではーと思いました。
やるな、リーナ!
4.カラン・ジョーハル監督作品
あらすじ
女子校育ちで男性の免疫がないメガ(キアラ・アードヴァーニー)は、仕事も女子校の図書室の教師。男性との交流がないまま育ったので、自分には男性を見る目がないと思っている。反対に同僚のレーカは、美しく性にも開放的だとPTAから苦情がある先生。メガは親の勧めもあって、見合いした相手パラマ(ヴィッキー・コウシャル)と結婚し、祖母、母、兄夫婦など大家族である夫の家族と同居を始めた。色々期待していたメガだが、彼との夜の生活は、入れて5秒。それに不満なメガは、もっとやりながら会話をしたい、AVをみて色々試したいとさりげなく夫に言ってみるものの、却下され、満たされない日々。ある日の放課後、レーカ先生が図書室で密かに使っていたリモコン・バイブを、メガが盗み、自宅でこっそり試してみることにしたのだが。
見どころ、感想、ネタバレあり!
インド映画で、リモコン・バイブ?!
自ら図書室で?!
と、なんのAVかと思いました笑。
ベッドで、毎晩メガが挿入後、「1,2,3,4,5」と指折り数えて、「はああ」とため息つくシーン、悪いけど笑います。
でも「メガ、偉いなー」と思うのは、きちんと自分の欲望を相手に伝えていること。
日本女性はなかなか言えない人、演技しちゃう人が多いのでは?
そして何と言っても凄いシーンは、間違ってリモコンを手にしてしまったおばあちゃんの操作により、家族の目の前で、バイブを入れたまま、悶絶して!果ててしまうとこ。
凄すぎる、インド映画。。
ここまでやっちゃうとは。。
女優さんの演技にも脱帽。
攻めてますこの映画!
最後に。「慕情のアンソロジー」ネットフリックスで見逃しなし
はっきり言って「慕情のアンソロジー」って題名が、ダメ!
はっきり、「女の欲望の映画」っていえばいいのになーと思います。
「慕情」なんて、「昔のメロドラマみたいな内容なのか?古そー」と思ったら、全く違う!
攻めまくりの映画。
いい意味で裏切られた感120%です。
性にあっけらかんとした乾いた感じがあって、好き。
こんな不埒な映画許せないわ!という人もいるかしらん。
ちなみに今年2020年は、またこの4人で「恐怖のアンソロジー」が作られたので、これも絶対面白そう。観てみたい!
私的には、面白かったので、★★★★4つです!