『運命の子供たち』インド映画アカデミー賞受賞監督見どころあらすじ

ドキュメンタリー

インドの東部タミル・ナードウ州にある、最貧層の子供達のための全寮制学校”シャンティ・バヴァン”。

「運命の子供たち」は、4才から就職までの子供たちが暮らすこの学校の5人の少女達の成長を追ったドキュメンタリーです。

最下層貧民出身の子供たちが、学校の先生やボランティアなど多くの人と触れ合い、学ぶことによって、代々続く貧困の連鎖を断ち切り、自分自身の運命を切り開いていく姿を7年間撮影し続けた記録です。

このドキュメンタリーは4回シリーズ。

数年ごとの少女たちの記録がされているのですが、それぞれの年代の少女たちの望み、葛藤、成長が描かれていて、「この先どうなるんだろう」と気がせいて、一気に観ちゃいました。

一話が60分くらいなので、見やすいと思います。

『運命の子供たち』okome のヒトコト感想&勝手におすすめ度

 カーストを 打ち破るは 夢と自信 

 勝手におすすめ度 ★★★★★

『運命の子供たち』のストーリー、あらすじ!

第1話「運命の子供たち」 最下層民のこどもたち

若干4才で親元から離れ、寄宿学校シャンティ・バヴァンで勉強や生活をする少年や少女たち。3つの州の最下層貧民の子供たちが、毎年12人選ばれている。

彼らの使命は、しっかりとした教育と豊かな愛情を受けて成長し、自分自身と家族、地域を救う人となること。

シャンティ・バヴァンは、慣習が根強く残るインドで1000年にわたり虐げられてきた最下層貧民、女性の苦しみに終止符を打てるよう、社会で活躍できる人材を育てたいという思いで作られた。

設立したのは、インド系アメリカ人のアブラハム・ジョージ。実業家として成功していた彼は、49才の時、会社を売却して資金を作り、50才の時、家族とともにインドに移住、一から学校を設立した。

優秀な教師に教育を受け、優しく愛情をもって接する寮母たちの世話のもと、衣食住全てを賄ってもらい、大切に育てられている。

登場する少女たちは、テンモリ(7才)、マンジュラ(14才)、プリータ、シルパ、カーシカ(16才)。

自分たちの家族や、その時の希望について語っていいる少女たちの生活を追う。

『運命の子供たち』見どころ、感想、おすすめポイント!

シャンティに選ばれるのは、1家族から一人だけ。たとえ姉弟や姉妹が希望してもシャンティには入学できない。

それは、教育を受けることのできる子供たちを、幅広く受け入れたいから。

学校の運営資金は、設立者のアブラハムから出ている。子供たちの衣食住を賄い、先生や保育者を雇うには、一学年12人が限界。なんたって私立の大学の費用まで出してくれる。

凄いシステムです。

インドの最下層貧民を教育で救うという理念を打ち立て、着々と成し遂げるパワーと信念。

こんなお金の使い方があるんですね。

学校で楽しく勉強したり、信頼できる大人である先生たちと触れ合う子供たちの姿がキュートです。

第2話「運命の子供たち」 勉強、使命、大いなる期待と重圧

シャンティは、衣食住、教育が全て無料。ただし、勉強やマナーには厳しい。

なぜなら、優秀な成績で、大学に進み、稼げる職業について、自分自身や家族、地域に貢献することが、この学校の子供たちに期待されていることで、使命だから。

毎日の勉強や試験をこなすこどもたち。

優秀な成績を取り続けなければ、留年。

留年をし続け、学校に合わないとなれば、退学になってしまう。

勉強のプレッシャーと闘う子どもたち。

アメリカの男女平等の自由な雰囲気、衣食住に恵まれた現代的な環境の中で成長する一方、インドの家庭が重んじる伝統や因習との格差、家族や村人の意見の違いに次第に葛藤を感じ始める少女たち。

『運命の子供たち』見どころ、感想、おすすめポイント!

ここに暮らす子供たちが、みんな清潔で、生き生きと勉強したり遊んだりしている反面、それぞれの子供たちの家庭環境や姉弟の最下層貧民の生活の様子が紹介されます。

教育を受けていない母親、働かない父親、学校を途中でやめて働く姉弟たちの姿。

伝統的な慣習では、「女性に教育は必要ない、家事ができればよい、14才でお嫁に行くのだから」。

グローバルな教育を掲げているシャンティでは4才から英語を勉強し、英語、算数、理科に力を入れている。経済、工学など、将来、きちんとお金を稼げる職業についてほしいと思っているから。

「なぜ、勉強するのか」「この勉強は何の役に立つのか」「将来の夢は」「地域貢献とは」「女性の自立」などなど、4才から、教え込まれるこどもたち。

めちゃめちゃしっかりしてます。

年2回、実家に帰れば、古い因習や貧しい生活が待っている。

そこから抜け出すには、勉強しかない。

無邪気なテンモリが、このころから勉強に苦手意識を持ち始め、自信無げな表情になってきます。

でも先生方は、テンモリのコミュニケーション能力は素晴らしい、とほめる。

教育は、愛情と、ほめほめ作戦も必要ですよね。

叱られてばっかりだと、意気消沈自信がなくなってしまうもの。

他の子供たちも、大学入試や卒業が近づき、色々な葛藤を抱え始めます。

みんな、素直で頑張ってて、いとおしいです。

第3話「運命の子供たち」 自分たちの人生

シャンティを卒業後、それぞれの夢に向かって、大学に通い始めた少女たち。

看護学、政治学、ジャーナリズム、ロースクールに自宅や寮から通うが、恵まれていたシャンティとの生活の違いに戸惑う。

また、大学では最下層貧民出身者は少なく、ほとんどいない。そのため、富裕層の友人たちとの付き合い方に戸惑い、また浮いていく彼女たち。

そんな中、「この子がうちを救ってくれる。養ってくれるんだ」という貧しい家族からの期待、「しっかり就職して恩返しをしなくてはならない」というシャンティへの貢献という使命、そして自分自身が追い求める本当にやりたいこと。

大人になってきたからこそ、社会と現実、夢、その間で彼女たちは悩み、成長していく。

『運命の子供たち』見どころ、感想、おすすめポイント!

獣医になりたいといっていたテンモリが、成績が悪くなりにつれ、どんどん自信がなくなっていくさまが、見ていて辛い。

他の少女たちも、大学という外の世界で、生まれた時から恵まれた別世界に育った学生と触れ合うことにより、葛藤するんだけど、それまでの愛情や使命が支えていてくれるのか、かなり強い。

学校で培った「自分は何をするために生まれてきたのか」という社会的使命が植え付けられているせいかな、と思った。

ちなみに私は、カーシカファン。

やせ細っていて、「大丈夫か?」と思いながら見てました。でもこの後の成長もすごかったんです。

第4話 「運命の子供たち」 切り開いていく運命

年下の子供たちがシャンティ・バヴァンで生活し、勉強を続ける中、卒業していった少女たちは、社会人として就職し、キャリアに向かって歩みだす。

それは看護師だったり、弁護士だったり、自分に合った仕事、昔からつきたかった職業。校長先生から16年にわたり言われ続けていた、シャンティの理念「地域の人々を助ける」社会貢献という使命を常に思い描きながら。

『運命の子供たち』感想、おすすめポイント!

マンジュラが「みんなは工学とか経済でお金を稼いで貢献するけど、私はお金じゃなく、直接人々を助ける仕事なの」と誇りをもって働いている姿が、堂々としていて、よく育った!と親戚のおばちゃんみたいに感動しました。

シルパの亡くなってしまった妹との軋轢は、せつない。人生は不平等だよね。

私の大好きな、カーシカが着実に夢を実現し、弁護士になったのは、本当にすごいと思いました。実家を訪ねた、仲間チームの「こんなところで本当に育ったの」という驚きは、確かに、です。

家族のため、村のために、地元石の採掘場を調べて環境改善を図るさまは、シャンティの誇り。

勉強は、自身のため。自分をめぐる世界のため。

を実感した最終回でした。みんなの成長ぶりが、ホントに頼もしかったです。

『運命の子供たち』監督

バネッサ・ロス監督

「フリーヘルド」でアカデミー賞短編ドキュメンタリー映画賞を受賞した監督です。ノンフィクション記録映画なんですが、いやよかったです!

最後に。「運命の子どもたち」ネットフリックスで見逃しなし

シャンティ設立者のアブラハム校長が常々言っていること。

高い学力、リーダーシップ、誠実で優しく謙虚な人間性と社交性を身に着け、自信をもって生きることが大事。

本当にその通りだと思いました。

シャンティの子供たちが、自信をもって、社会に出て、自分の運命を切り開いていく姿に期待しています!

okomeが、見てよかった作品、★★★★★5つです!

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