『地上の星たち』インド映画おすすめ感動!結末ネタバレ アーミル・カーン(2007年作品)

インド映画

この「地上の星たち」は、原題が「Stars on Earth~Every Child is Special~」。

「地球上の星たち~全ての子どもたちは特別な存在~」ってことでよいかな?

子どもたちはみんな、ひとりひとりが大事で、特別な存在なんだよ!っていうメッセージが、とても胸に迫ります。

私が大好きな、純真な瞳の子どもが出てくるこの映画「地上の星たち」おすすめポイントをぜひご覧くださいー!!

『地上の星たち』okome のヒトコト感想&勝手におすすめ度

子どものね 星をひとつひとつ 見つけてあげたい

「勝手におすすめ度」★★★★★(感動、観てほしい!)


「地上の星たち」監督、キャスト

監督

アーミル・カーン  アモール・グプテ

キャスト

・アーミル・カーン
・ダルシール・サファリ
・タナイ・チェーダ
・ティスカ・チョプラ
・ヴィピン・シャルマ
・ギリジャ・オーク




「地上の星たち」ってどんなインド映画?

「地上の星たち」は、インドが誇るトップ俳優の一人、アーミル・カーンが主演、初監督もした2007年の映画。失読症(ディスレクシア)の少年が主人公のハートウォーミングな映画です。

さまざまな映画祭の賞を総なめにし、主演男優賞、子ども賞も受賞しました。

いまから13年前の映画なんだけど、全く古さは感じない。

ただ、アーミルが若くて、「え?アーミルってイケメンだったっけ??」とつい思っちゃったくらい、かっこよかったです。

この10年後に、同じくアーミル主演で、映画「ダンガル」が公開されますが、「これが本当に同一人物だろうか・・・」と思うくらい、顔も体型も老け具合も(失礼か・・・)違う。

役者さんって、凄いですね。

というか、もう絶対観て!!

2時間43分の映画ですが、全く長くないです。

引き込まれて引き込まれていく、もうすごい熱量の、制作者の気持ちが伝わってくる映画。

必見です!!

「地上の星たち」あらすじ

主人公は、イシャーンという9歳の少年。

厳しい仕事人間のお父さん、優しく美しいお母さん、成績学年トップで真面目な弟想いの優しいお兄ちゃんの4人家族。もの凄いお金持ちでも、貧乏でもなく、どこにでもあるインドの中流家庭で暮らすイシャーンですが、ちょっと人とは違うところがある。

それは全く勉強ができない、ということ。

小学3年生だけど、留年中。

教科書が読めない。

文字も言葉も正しく書けない。

計算もできない。

ボールもうまく投げられない。

授業中も暇な時もいつも空想や妄想していて、人の話に集中できない。

テストはいつも0点。

だからイシャーンは、先生にも親にも毎日毎日叱られてばかり。

先生を馬鹿にしているのかと廊下で立たされ、言うことを聞かないと親にも殴られ、何も言い返せず、上目使いに睨むだけ。

するとまたその態度が悪い、と叱られる。

そしてついに、学校にもさじを投げられ、また留年させると脅されたイシャーンは、父親の命令で、遠い寄宿舎のある学校に学期半ばで転校することになります。

「大好きなお母さんと離れ離れになりたくない、絶対行かない」と泣いて抵抗するイシャーンですが、絶対的家長のお父さんには、家族誰も逆らえない。

家族に捨てられた、自分は要らない子なんだと、絶望するイシャーン。

軍隊式の学校に転校したイシャーンは、そこでも学校の勉強についていけない。

足の悪い優しいラージャン一人を除き友人もできず、軍隊式にびしびしと勉強を強いる教師に殴られ、どんどん抵抗する気持ちを失い、無気力になり、なにに対しても興味を示さず無表情になっていきます。

屋上のフェンスに上ったり、池の淵に佇んだり、このまま死んじゃうんじゃないか、というシーンが続いていきます。

そんな時、臨時美術教師として赴任してきた、ラーム先生が、彼の人生を劇的に変えていくのです。


「地上の星たち」見どころ、感想、ネタバレ

「地上の星たち」主人公イシャーン、ダルシール・サファリの演技がSpecial!

 

この主人公イシャーンは9才の設定。

演じていたダルシール・サファリも同じくらいだと思いますが、小柄でもっと幼く見えた。

ただ、演技は、本当にプロでした。

「ここにイシャールがいる!」と思って本当に切なくなったくらい、イシャールを完璧に生きていました。

最初のころの、腕白で、自由で、伸び伸びと子どもらしいイシャール。

魚をのぞき込んだり、夢中になって大好きな絵をかいたり、庭にいる犬と遊んだり、宇宙や海の奇想天外な想像を膨らませるシーンはホントにかわいい。子どもの想像力ってすごい、無限大、天才!とほれぼれ。

でも数学の時間、妄想が過ぎて問題を全く解けず、嘘をついてさぼったり、授業抜け出してトイレ行ったり。

先生や親に叱られる問題児のイシャール。

睨みつけたり、怒ったり、かんしゃくを起こしたり、気の強い負けん気の表情を見せるシーン。

こんな子いるよね、と思う。

自然に囲まれてといえば聞こえはいいけど森に囲まれた寄宿舎に移り、毎日毎日怒られてばかり。黒板の字が躍って見えてやりたくてもできない勉強。なんでできない?と言われてもわからない。文字が虫になって自分を襲ってくる幻影が見えてくる。慰めてくれる人も寄り添ってくれる人もいない。

学校にも家にも居場所がなく、孤独になっていくイシャール。

もし自分がこんな風に追い詰められたら、アタマがおかしくなる。

怯えて、実際体にも心にも弊害が出てくるイシャール。

孤独と絶望感で、どんどんイシャールの目の光が失われて、感情も枯れ果てていく姿は、胸が締め付けられました。ココロが空っぽになると、こんな目になるんだ、と。

私は、こんなシーンいつまで続くの、どうしたらいいんだ、と見ていて悲しくて悲しくて。

そして。

アーミル・カーン演じる臨時美術講師のラーム先生が、現れるのですー!「バンバンボレー」の歌を歌いながらお尻振って踊るアーミルの姿に、「救世主がー」とここでも涙。

ラーム先生は、知的障碍児の学校チューリップ校の先生。そして、自身もディスレクシアであるラーム先生。

「熱はある。熱の原因は?」と両親に問う。

そうですよね。なんらかの原因があるんです。それが「文字が認識できない」という障害。

失読症について語るシーンのイシャーンの表情、演技は、もう必見!

「自分がまた貶められるのか」とびくびくしていた表情から「え?僕のことじゃないの?」という戸惑い、「こんな僕みたいな人が他にもいるの?」という驚き、「そんな有名な人も?」という自身への認知の芽生え。

微妙に変化していく表情が、ホントにすごい。

最後のシーンで、得意の絵で存在を認められ、イシャーンの感情のダムが崩壊して爆発してどうどうと溢れ出るシーンは感涙です。。。!

イシャーンの絵が凄く感情豊かに表現されていて、子どもたちは言葉には出せなくても心の中は自由で無限の可能性がある。

この役者さん、ダルシール・サファリですが、あまりに演技が凄かったので、その後どんな活躍をしているのかなあ、と思い調べてみましたが、日本のネットでは2012年、2013年ごろまでの情報しか出てきませんでした。

年齢でいうと、中学生くらいまでかな。

今は30代前半くらいでしょうか。

イケメンじゃないかもしれないけど、味のある役者さんになってくれていないかな、と思います。

アーミル・カーンの映画で、ふと出てたりしないかなあ。

私が、ちょっと成長した姿を見てみたいなと思う役者さんの一人です。


「地上の星たち」子どもに、先生に、親に、世の中に語りかけるメッセージがSpecial!

イシャーンを絶望の淵から救ったアーミル・カーン演じる美術の先生の言葉が、素敵。

失読症(ディスレクシア)ではないかと疑い、イシャーンのノートや過去の言動を調べ、校長先生やイシャーンの両親にイシャーンのための指導について語るシーン。

イシャーンの教室で、子どもたちに語りかけるシーン。

 

インドは人口10億人の詰め込み型、学歴社会です。人生の成功者になるためには、勉強を頑張り、トップを目指さなくてはならない。

親も成績を期待するから、学校の先生もそれに対応せねばならず、大変ですよね。ましてや一クラスの生徒は60人。生徒一人一人をきめ細かく見ていくなんて、至難の業です。

 

でもそれでも、失読症で小さなころ同じように苦労したラーム先生が、自身が救われた経験から、「ちょっと変わった人は「違う視点で世界を見られる人」と、具体的に、アインシュタイン、トーマスエジソン、ウオルトディズニーの名前を挙げるところは、映画を見た、この障害を知らない人にも説得力があるだろうなあ、と思いました。

発達障害だからこその豊かな想像力と才能、可能性。

 

一人の親として、私が、はっと思った言葉は、ソロモン諸島の木の話。

「ソロモン諸島では、木を倒すとき、斧などを使わない。気に向かって怒鳴り続ける。すると次第に木は衰えて、自然に倒れる」という言葉。

耳が痛い人は多いんじゃないでしょうか。

親だから、子どものために、声高に自分の意見を押し付ける。

できないこどもは、苦しいでしょうね。

 

国民的スター俳優のアーミル・カーンが作ったこの映画、自然にたくさんの人が観るので、国民全体にメッセージを伝えられる映画なんだろうなと思いました。


「地上の星たち」失読症(ディスレクシア)ってなに?

主人公イシャーンの障害は、失読症(ディスレクシア)です。

読み書きが困難な状態のことを言います。これは、文字を読んだり書いたり全くできない、というわけではなくて、正確にできない状態ということです。

イシャーンの場合は、bとdが入れ替わっていたり、sが鏡文字になっていたり、文字の意味がきちんと頭に入ってないので、書けない、ということでした。

私の知り合いにも失読症の人がいて、彼女の場合はすべての文字が重なって見えているらしく、「森」という文字でいうと、「木」が限りなくたくさんある状態に見えているようです。

この失読症は、日本だと小学校のクラス40人に一人はいるのではないかという疑いがあるとのこと。

思ったより、多いですよね。

対処する方法は色々考えられていて、音読を視覚で読むのではなく聴覚でとか、読み聞かせで言葉に興味を持ってもらうとか作文をキーボードを使うとかあるそうですが、理解が進まないと難しいですね。。デジタル録音の教科書や図書を作って働きかけている団体もあります。

このブログが届くかわかりませんが、困難を抱えている子どもたちや周りに少しでも届けばいいなと思います。

イシャーンのラーム先生のような存在が、あらゆる場所にいればいいなと思います。


最後に。映画「地上の星たち」ネットフリックス配信終了だけど、再開を待ちたい!!

インド映画といえば、ダンスや歌。

きらっきらな美男美女が出てきて繰り広げられる恋愛模様、突然歌いだす派手なミュージカル様式のボリウッド!

…がお決まりの時代もあったけど、最近は社会的、ヒューマニズムな映画も数多く作られていて、多種多様な映画を見ることができます。

私は、その中でも、インドの子どもが出てくる映画は大好き。

濁りのない大きな瞳でまっすぐこちらを見つめてくる子どもたちは、神様が作った、真摯に生きる無垢なカタマリ。

インド映画って、そんな子どもたちが登場する映画が多いような気がするんですよね。

社会的身分制度ヴァルナ、カースト制度があったり、因習や慣習が根強く残っていたり、男尊女卑が激しかったり、貧富の差が著しかったり。

心身ともに生きることが過酷なインドだからこそ、より、子どもたちの一瞬の輝きを映し出し、切り取る映画ができるんじゃないかなあ、と思ったりします。

子どもが主役の映画は大好き。こちらの映画もおすすめです!!

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かなりのネタバレ的な感想ですが、ぜひ、最後に輝きを取り戻したイシャーンの伸び伸びとした姿と目を、NETFLIXで、映画で観てほしいなと思います。

ということで、ぜひ見てもらいたいので、★★★★★5つです!

※2020年12月、ネットフリックス配信が停止してしまいました。いい作品なので復活してほしいですね。今後の配信を待ちたいと思います。

 



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