『僕の名はパリエルム・ペルマール』インド映画!あらすじ感想見どころ★4

インド映画

インディアンムービーウィーク2020及びリターンズのインド映画『僕の名はパリエルム・ペルマール』は、2018年に制作公開され、数々の賞を受賞した映画です。

インド社会の暗部であるカースト制度を真向うから描いた作品で、正直、帰り道、辛くて泣きだしたくなるくらい、ずしんと心に響きました。

私は酔っちゃったけど、芸術的にも凄くこった映像で、すごく好きになる人はいそう。

色々な意味で凄く心に残り、考えさせられる、いい作品だと思います。うーん。この映画のことになると真面目になっちゃうな。よかったです。

それでは作品紹介、いきます。ぜひ、よければご参考にしてくださいね。

『僕の名はパリエルム・ペルマール』IMW2020ヒトコト感想&勝手におすすめ度

   青色は ダリッド象徴 カルッピー!   

  「勝手におすすめ度」★★★★☆(カーストいじめが見ててつらいけど)


『僕の名はパリエルム・ペルマール』IMW2020監督&キャスト

監督

 ・マーリ・セルヴァラージ

キャスト

 ・カディル

    ・アーナンディ

    ・ヨーギ・バーヴ


「僕の名はパリエルム・ペルマール」IMW2020インド映画あらすじ

2005年。トゥートゥクディ県に住む、貧しいダッリド層(不可触民)の青年パリエルム・ペルマール(カディル)は、可愛がっていた飼い犬の黒い犬カルッピを亡くす。彼の上級民であるヴァイシャかシュードラ層の青年たちの悪意あるいたずらにより、線路に括り付けられ、目の前で列車に引き殺されてしまったのだ。広い野山に一緒に狩りに出かけたり、仲良く時を過ごし大事な家族の一員なカルッピを亡くし、悲嘆にくれるパリエルムだったが、上級民には逆らえず沈黙する。

パリエルムは、アンベードカル博士に憧れ、弁護士になるために、ティルネルヴェーリ市にある法科大学に進学する。ダリッド層出身の彼の発言に、大学での生活を危惧する大学総長。

他の科目は優秀だが、高校時代の英語は7点の成績で、優しい女の先生や同級生女子学生の助けもあって何とか進学したパリエルムは、早速英語で行われる政治学の授業についていけない。同じクラスの陽気なアーナンド(ヨーギ・バーブ)と仲良くなり、また、教授とのトラブルをきっかけに、美しい女子学生のジョー(アーナンディ)が英語の勉強を教えてくれることになり、パリエルムは楽しい大学生活をスタートすることができた。

そんな時、街では、大学生が次々と死ぬ事件が発生していた。

バスに乗り遅れた白髪の老人を助けて、一緒にバスに乗り込んだ優しい大学生は、その老人に手すりから手を外され、走行中のバスから転落し、事故として死亡する。

親からカーストの違いで交際を反対された女子学生は、白髪の老人の手によって密かに首つり自殺の偽装をされて殺された。

川で溺れかけた白髪の老人を助けに行った大学生は、その老人に水中に沈められ、溺死させられた。

あるとき、パリエルムは、友人代表として、一人だけジョーから姉の結婚式に招待される。最初カーストの違いから尻込みしていたパリエルムだったが、好意を持っているジョーからの誘いに、プレゼントを用意して参加する。しかし、パリエルムは、父親の策略により家に帰らされたジョーと行き違いになり会えず、またジョーの従兄とその仲間たちに散々嬲られ暴行を受けてしまう。暴行の原因は「カーストの違い」だった。

ジョーと会うな、口をきくなと脅されたパリエルムは、ジョーと疎遠になるよう努めるが、ジョーの従兄のいじめや嫌がらせはおさまらない。だんだん追い詰められていくパリエルムは大学で暴れてしまい、親を連れてくるよう言われる。

一度は何とか偽物の親でごまかしたが、2度目の呼び出しでは観念してh実の親を読んでくる。父親は地元では有名な女装ダンサーだった。パリエルムの父親が女装ダンサーだと知ったジョーの従兄たちは、その父親を辱める。

ことの顛末をようやく知った、大学の学長は、自身もダリッド出身であることをパリエルムに打ち明け、困難な道だが屈することなく進むよう励ます。

ジョーとも仲直りをし、一筋の光が見えたかに思えたが、裏では、ジョーの父や親戚が集まって、パリエルム殺害計画を企てていた。白髪の老人に頼めば、密かに目当ての人間を殺してくれるという。父の病院帰りに足の悪い老人を見かけたパリエルムは、手助けを頼まれ、村まで送ることを頼まれる。そして帰り道老人に襲われたパリエルムは、気絶したところを線路に運ばれてしまう。しかし間一髪のところで、飼い犬カルッピが夢の中に現れ目を覚ましたパリエルムは何とか逃げ出すが、そこでもジョーの従兄たちに襲われてしまう。ボロボロになりながら戦ったパリエルムは、現れたジョーの父親に自分の正直な気持ちをぶつけ、父親は最後パリエルムを殺すことなく、従兄たちを連れて帰っていく。殺人を遂行できなかった白髪の老人は、自ら線路に横たり、轢死する。

その後、ジョーが、父親とジョーの従兄を連れて、パリエルムのところを訪れた。自分の大事な人を紹介する目的のためだった。今までのことをジョーに黙っていたパリエルムとジョーの父親は和解したのだった。


「僕の名はパリエルム・ペルマール」IMW2020インド映画見どころ、感想、ネタバレあり!

「僕の名はパリエルム・ペルマール」根強く残るカースト制

インド社会に根強く残るカーストに差別され続ける人々の生活を描いた作品ですが、観終わった今も、本当に心が痛いです。

カースト制度は、バラモン、クシャトリヤ、ヴァイシャ、シュードラ。そしてカーストにも入らないような、人間以下の存在がダラッド(不可触民)で構成されているとされます。表向き廃止されたことになっていますが、インド人は出身地を聞けば、カーストがわかるそうです。この映画でも出身地を聞くシーンがたびたび出てきます。

先日、ダラッドの結婚式に呼ばれたヴァイシャの人たちが、「自分たちの前の椅子に座って食事した」という理由で、ダラッドを惨殺したというニュースを見ました。パリエルムや他のダリッド出身が遭ったいじめや嫌がらせは、格のものじゃない、圧倒的なリアリティを見せてくれる映画だと思いました。

非がないのに、あんなに卑屈に生きなければいけないカースト制度の理不尽さを感じました。

「僕の名はパリエルム・ペルマール」監督もアンベードカル博士もダリッド出身

実は、新人監督のマーリ・セルヴァラージもダリッドの出身で、主人公の村は監督自身の故郷だそうです。

また、作中に名前が出てくる「アンベードカル博士」ってだれ?と調べてみました。彼もダリッド出身で、カースト制度の改革を進めインド憲法を草稿した偉大な人でした。

作中で、大学の総長がパリエルムの言動を危惧していますが、カーストに敏感な学生たちにいじめを受けることを心配していたのだな、と改めて思います。

「僕の名はパリエルム・ペルマール」パリエルムの名前、カルッピ

パリエルムの友人たちが買っている犬は、白い犬。カルッピだけが、黒い犬だったんですよね。

パリエルムの名前の意味は「馬にまたがった黒い肌の神」だそうです。

カルッピは、そんな神の化身としても表現されているのかなあと思いました。

劇中でもありましたが、人間を犬のように扱う日が無くなればと思います。

カルッピが、線路を駆けてきて、パリエルムを起こすところは泣けてきました。。。いい演技だったよ、カルッピー!!!

 「僕の名はパリエルム・ペルマール」父親役・タンガラージ

印象的なパリエルムの父親役女装ダンサーのタンガラージですが、実は映画と同じように無名のダンサーとしてとして働いていたとのこと。監督がどうしてもと探して頼み込んで、出演してもらったそうです。出演時間は短いですが、とても印象に残りました。何度も辱めに遭いながら、抵抗せずに、自分の道を歩んできた、という役柄は、タンガラージの生き方そのものだったんだろうな、と思いました。

「僕の名はパリエルム・ペルマール」幻想的なシーン

パリエルムがいじめに遭い、暴行され、辱めを受け、苦悩するシーンとして、幻想的なシーンが登場します。

この映画は、パリエルムの心象風景を、音楽の言葉に乗せて表していくんですが、それが秀逸なミュージックビデオなのです。でも好き嫌いは分かれるかも。目も耳もかなり疲れた。私はどっちかというと苦手でした。。。

好きな人は超絶好き!ていうシーンかもしれません。

「僕の名はパリエルム・ペルマール」象徴的な青色

パリエルムの心象風景に、人や死んだカルッピが、青い顔で次々と登場します。

「なんで青なの?」と思いましたので、調べてみました。

はっきりしたことはわからなかったのですが、青は浅黒い肌を表すとのこと。また、クリシュナー神やラーマ神なども青を月の色、神聖な色として考えているようです。

あと、劇中でもパリエルムが尊敬する人物として名を挙げたアンベードカル博士が勧めたダリッド運動のテーマカラーが青だったとのこと。

青には、色々な気持ちをが込めたんだなと思いました。


インド映画「僕の名はパリエルム・ペルマール」IMW2020おすすめ!キネカ大森、新宿ピカデリーでも

「僕の名はパリエルム・ペルマール」いかがでしょうか。

大学の勉強シーンなどで、ゆらゆらと画面が揺れて(なぜ?)気持ち悪くなりましたが、あれも何かを表していたのか。。。あれがなければ、もっと良かった。。。

暴力シーンは見ていてホントにホントにつらくなりました。現実はこんなもんじゃないのでしょうが、それでもこんなことは起きてほしくなった。が、最後はちょっと救いがあって。絶望的に終わるんじゃなく、希望が、救いが欲しいですよね。

監督の身近な体験や感想が生かされているのだろうなと思える、リアリティのある、社会的な意義のある映画です。もちろん内容もおすすめです。

そして、どうでもいいのですが、脇役俳優として有名なヨーギ・バーブがこの映画にも出ている!しかも友人役で(結構なお年なのに笑)。ヨーギ見つけると、なぜか嬉しくなってしまう。。。

ということで映画「僕の名はパリエルム・ペルマール」、辛いシーンも多々ありますが、ぜひ見てほしいので、★★★★4つとさせていただきます!


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