「息がつまりそう」は、2020年アヌラーグ・カシャプ監督による、ブラックコメディな映画です。
場面転換の度に、微妙な間の黒い画面が挟まれ、「この先どうなるの?」とお尻がもぞもぞと落ち着かなくなるようなドキドキ感もあるので、サスペンス要素もあり。
途中、八方ふさがり、つまりにつまって、どうなるんだよ?感満載でしたが、最後、「うわー、すっきり!」と便秘が解消したような気分になります。
爽快!
そっちのすっきりかよ。すみません。。
『息がつまりそう』okome のヒトコト感想&勝手におすすめ度
エンディング つまり解消 すっきりと!
「勝手におすすめ度」★★★☆☆(最後まで見れば面白い)
『息がつまりそう』監督・脚本&キャスト
「息がつまりそう」監督・脚本
・アヌラーグ・カシャプ
「息がつまりそう」キャスト
・サイヤミ・ケール
・ローシャン・マテュー
・アムルータ・スバーシュ
・ウペンドラ・リマイェ
・トゥシャール・ダルヴィ
・ラジシュリ・デシュパンデ
・ヴァイシュナヴィ RP
・ウダイ・ネネ
・パルトヴィール・シュクラ
・サンジャイ・バティア
・アディティヤ・クマール
・ミリンド・パタック
『息がつまりそう』あらすじ
2016年10月。ムンバイのあるアパートメントの1室で、夜中にもくもくと作業をする男がいた。
束にした紙幣を無造作に丸めて輪ゴムで止め、ビニール袋に次々と詰めていく。
そしてどんどんその袋を排水溝に投げ込んでいく。
大量の紙幣が排水溝に吸い込まれていった。
国立銀行の窓口業務を勤める美しい主婦、サリタ。彼女は、夫スシャン、小学生の息子サミルとともにアパートメントに暮らしている。
夫スシャンは、定職に就くもすぐに辞める、を繰り返す無職のヒモ男。仕事で膨らむ借金がありながら、日々友人たちと賭けキャロム(ボードゲーム)に興じ、サリタやサミルにあきれられている。
アパートメントには、何をやっているのかわからないラジンドラや、スシャンと保険販売業を立ち上げたディネシュ家族、サリタと仲の良いタイ家族が住んでいて、夜中に一緒に飲んで騒いだり、仲が良い。
サリタは、近所の人々や銀行の仲間からことあるごとに歌ってほしいといわれるほど、歌が上手いと評判の女性だった。
しかし、若いころに出場した「シャイニングスター」オーディションで、照明トラブルがあり、それ以来人前で歌うことに恐怖を覚えるトラウマを抱えるようになってしまっていた。
銀行の仕事や家事、子育て、スシャンの借金と忙しくままならない日常にストレスを抱えて暮らしていたサリタ。
ある日の夜中3時ごろ、キッチンの排水から水漏れが起こっているのに気が付く。
気になって排水溝のふたを開けてみると、見慣れないビニールの袋がいくつかあった。
袋を開けてみると、現金紙幣の束。
慌てて拾い上げ隠したサリタは、翌日その紙幣が偽札ではないかと疑い、銀行で確かめてみるが、ちゃんとした正規の紙幣だった。
神がお金に苦労している自分を救ってくれたのだろうか、と感謝するサリタ。
2016年11月、ナレンドラ・モディ首相は、500ルピー札(800円程度)と1000ルピー札(1700円程度)の通貨廃止を宣言。近日中にその両紙幣を銀行口座へ入金し、新紙幣に換金しないと無価値になると発表した。
換金の期限は決まっており、また一日に換金できる金額にも上限があり、毎日換金を求め、外にも長蛇の列ができ、サリタは多忙を極め残業する日々となっていた。
そんな時、サリタに、スシャンの借金相手から催促の連絡が来る。
話し合いにホテルに向かうサリタは近所の女にその姿を見られる。
階下の友人タイからは娘の結婚式に支払う新紙幣がないからこっそり換金してくれと泣きつかれる。
銀行では、お世話になった上司の退職記念に歌を強要される。
友人タイの結婚式の客が泊まるところがない、と家に押しかけてくる。
と、次々にストレスフルな出来事が降りかかるサリタ。
そしてある日、銀行に銀行強盗が押し入った。現金強奪される際、サリタのカバンに入っていた大量の現金を奪われそうになり、抵抗したサリタは殴られ失神してしまう。
サリタは、現金はどうなるのか。
あの現金は何なのか。
『息がつまりそう』感想、ネタバレあり!
「息がつまりそう」降りかかるトラブル!
サリタが思いがけない現金ゲットに「やったー!」と密かに狂喜乱舞し、借金返済、友人結婚式お祝い大盤振る舞い、欲しかった調度品を買って、ウキウキしていたのも束の間。
次々と訪れるめんどくさいことの数々。
この後どうなるの?とドキドキしながら、見守りました。
借金だらけのダンナがいたら、思いがけない天から降ったような現金をやっぱ、隠しちゃいますよね。。。信用ならんもの。
頑張って働いてるサリタに、悪いこと起こらないでー、逮捕しないでーと思いながら観てました。
「息がつまりそう」ここが見どころ!あの現金の出どころは?
あのお金の出どころは、実はサリタの家の上に住む、政治家個人秘書6人が密かに隠した新札だったのでした。番号がすべて控えて合って、確認済み。
どこの国にでもいるんですな。悪徳政治家と個人秘書。
真面目に働いてる庶民、なめんなよって感じです。
その政治家個人秘書とサリタの関係を疑われ、窮地に陥るサリタでしたが、ここで意外な助け舟がやってきます。
それはなんと、夫のスシャン。
ひょんなことから、お金が外の排水溝にたまっていることを知ったスヒャンが警察にその場を案内して一件落着。
そして、タイなど、近所の家族もちゃっかりと現金を手にしていたのでした。
はあー。サリタ、捕まらなくてよかった。
でも現金は返しちゃうんだけどもね。
ただ、そのあと、1年後。
悪徳政治家撲滅のお手伝いをしたということで、サリタたちになんと没収金額の1割の報奨金が与えられることになったのです!
税務署か警察かなんかわかんないけど、すごいー。
太っ腹!
「息がつまりそう」これがポイント!通貨廃止策とは?
この映画「息がつまりそう」は、2016年11月にモディ首相の通貨廃止宣言をヒントに作られた、ブラックコメディです。
通貨廃止とは何ぞや?ですよね。
実は、インドにはびこるマフィアのブラックマネーのあぶり出しを目的に行われた政策なんです。
500ルピー、1000ルピーの両紙幣は、インド全体流通現金の86%を占めていた高額紙幣。サリタが「買い物2ルピー、5ルピー」と手帳に付けていたことからもわかる通り、庶民にはかなりの高額です。
その紙幣がある時を境に一斉に使えなくなっちゃうんだから、こりゃ、社会は大混乱です。
箪笥預金をしていた人たちが将来を悲観して自殺してしまうくらい。
モディ首相は、新紙幣への切り替え時にキャッシュレス化を推進して、政治の汚職やマフィアによる脱税などを防ぎたいと思ったようですが、2020年現在、徐々にまた現金のt流通が増えてきているようで。。
およよ。
最後に。「息がつまりそう」ネットフリックスで見逃しなし!
「息がつまりそう」、いかがでしたか?
内容は、2016年10月のインドに起こったある女性と家族のお金にまつわるストーリーなんですが、この年月を聞いて、ピンとくる人はいましたか?
いるとしたら、かなりのインド通!&経済通!
私は、映画にしきりに出てくる「2016年10月」に、全然ピンと来なかったので、途中まで全く話の内容がどこに進むのか、わかりませんでした。
すみません。
暗い画面で、次々に起こるトラブル、銀行強盗のときにはどうなるんだー!?と思いましたが、最後の最後に、ハッピーエンドになり、救われた気持ちになった映画です。
ただ、途中、歌を歌っていたスヒャンのシーンがあったのですが。
音楽始めたの?
サリタはトラウマから自由になって、歌えるようになったの?
ということだけが、疑問。
1時間54分の映画。まあちょうどよい長さですかね。
便秘的なつまり解消も、まあまあできたし(またまたすみません)、
一応面白かったので、★★★3つです!